「あらたふと 青葉若葉の 日の光」(芭蕉)
1616年に駿府で没し久能山に葬られた江戸幕府初代将軍・徳川家康を神格化し、1617年に日光の奥院廟塔に改葬され『東照大権現(とうしょうだいごんげん)』として祀った神社『東照宮』。
徳川家康は、薬師信仰に厚い両親が鳳来寺の薬師如来に祈願し授かったため薬師如来の生まれ変わりとされており、『東照』とは『東方薬師瑠璃光如来(薬師如来)』のことで『大権現』は、仏や菩薩が仮の姿で現れたとする神号です。
3代将軍・徳川家光が家康二十一回忌の法要に向けて『寛永の大造替(だいぞうたい)』が始められ、1636年に現在の荘厳な社殿が完成しました。
2017年3月に、『平成の大修理』として4年間かけて修復され、創建当初の極彩色が施された国宝『陽明門(ようめいもん)』が一般公開されました。
また、人の生涯の教えを伝えている8面構成のうちの一つ「見ざる・聞かざる・言わざる」の三猿(Three wise monkeys)たちも修復され新たになった姿を見ることができます。
平和を表すとされる『眠り猫』と、それに対する『雀』など多様な動物たちも色彩よく出会うことができます。
しとしと降る雨。
無風ではあるが、時折激しく地面をたたく雨。
『日光東照宮』400年の永い歴史の隅々まで、深く重く濡らします。
写真・文 / ミゾグチ ジュン